和田健太郎がグランプリ初制覇!/平塚GP <平塚競輪:KEIRINグランプリ2020>◇GP◇最終日◇30日 KEIRINグランプリ2020は初出場の和田健太郎(39=千葉)が制した。2着は脇本雄太(31=福井)、連覇を狙った佐藤慎太郎(44=福島)が3着。 配当は2車単(4)(2)2万20円、3連単(4)(2)(9)22万1650円。  優勝賞金1億340万円を懸けた競輪界最高峰の「KEIRINグランプリ2020」が30日、神奈川・平塚競輪場で行われる。夢の一発勝負で、競輪界屈指の実力者・平原康多(38)が、東京五輪日本代表にも選ばれた脇本雄太(31)と初タッグを組み、大会初制覇を目指す。スポーツ報知とスポンサー契約を結ぶ2人が夢の“報知ライン”を形成し、1年を締めくくる年末の大一番で、ワンツーフィニッシュを決める。  競輪は“ライン”が勝敗を分けると言っても過言ではない。脇本は脚力NO1でも、一人での戦いは不安材料と考えていた。出場メンバーが出そろった時点で、ライン的に有利なのが、3人で組める新田か、郡司―和田の南関コンビか。そう思っていた。そこにサプライズが。22日に行われたグランプリの前夜祭。こちらも一人で戦うと思っていた平原が、脇本に付くと発言したのだ。  地区ごとにラインを組んでレースを行うのが競輪。近畿の脇本、関東の平原はこれまで何度も対戦してきたものの、お互いに同地区の選手がいたり、なかなかタッグを組む機会はなかった。それだけに平原も「脇本君の後ろを走ることがないまま選手生活を終えるんだろうな」と諦めていた。  ところが、今回は他の7人にラインができる中、平原と脇本には組む相手がいなかった。初制覇への気持ちが年々高まっている平原が11度目の挑戦で動いた。「世界で一、二を争う選手に付けて(後ろに付くこと)みたい気持ちはあった。こんな強い選手は今後出てこないだろうし、今までの選手の中でも脚力だけは一番だと思う。(脇本に)付けてほしい、というファンの声にも背中を押された」と説明する。付けてもらえることになった脇本も「平原さんと組めるのは光栄」と満面の笑みだ。  27日の前検日のバンク内での写真撮影。ツーショットの要望に、はじける笑顔で応じた2人を見て、かなわないと思っていた“報知ライン”が実現。昨年、今年のオールスター・ファン投票1位の脇本&同2位の平原の最強チーム結成を目の当たりにした。  お互いを認め合っている。脇本は日本代表で世界でも活躍している五輪戦士。平原は練習方法や自転車のことなど、気になることがあれば、アドバイスをもらったりしてきた。脇本は「平原さんはナショナルチームで使っているシューズとかがあると『どこで買えるの?』とか、すぐに聞いてくる」と平原の競輪への情熱を常々感じている。  脇本の持ち味が最も生きる競走スタイルは、残り1周を先頭で駆け抜ける“先行勝負”。一人での戦いでは何も援護が受けられず、すぐ後ろに敵がいることになる。それだけに強力なガードが期待できる平原と組めるのはありがたい。戦いやすくなった脇本が自分の走りに没頭して先行勝負に打って出る。  そうなれば「ここまでのストーリーは作れた。彼を信じて本当にワンツーを決めたい」と奇跡のタッグに、いつにも増して気合が入る平原が、外に内に動いてライバルたちを強烈にブロック。前には出させず、村上義弘&博幸兄弟(10年、14年GP)でもなし得なかった“報知ライン”決着を果たす。(上倉 健)  ◆平原 康多(ひらはら・こうた)1982年6月11日、埼玉県狭山市生まれ。38歳。2002年8月、西武園でデビュー(〈1〉〈2〉《9》着)。G1優勝は7回。185センチ、95キロ。血液型A。  ◆脇本 雄太(わきもと・ゆうた)1989年3月21日、福井県福井市生まれ。31歳。2008年7月福井でデビュー(〈1〉〈1〉《2》着)。G1優勝は5回。競技では14年5月アジア選手権ケイリンで優勝。W杯ケイリンでは17―18年第4戦、18―19年第1戦で金メダル。今年は世界選手権ケイリンで銀メダル獲得。180センチ、82キロ。血液型A。  ◆KEIRINグランプリ 1985年に第1回大会が開かれた。当時は優勝賞金1000万円。その年のGI(読売新聞社杯全日本選抜、日本選手権=今年は中止、高松宮記念杯、オールスター、寛仁親王牌、競輪祭)優勝者と年間の獲得賞金上位者で争われる。04年から優勝賞金が1億円になり、今年は1億340万円。平塚での開催は17年以来8回目。  競輪界最高峰のレース「KEIRINグランプリ2020」(優勝賞金1億340万円・副賞含む)が30日、平塚競輪場の最終11Rで、9選手により争われ、18年目でグランプリ初出場の和田健太郎(39)=千葉・87期=がゴール前で差して初制覇。02年8月のデビュー以来初めてのビッグレース制覇を飾った。  和田は、地元・神奈川での開催に闘志を燃やしていた郡司浩平の後位につけ、ゴール前で一気に抜け出した。2着は脇本雄太、3着は佐藤慎太郎だった。和田の次回出走予定は1月9~12日のG3和歌山。  和田健太郎「ありがとうございます。まだなんか信じられない状態です。デビューして18年、長かったですね。きょうは、僕の走りというより地元バンクの郡司君の走りが、僕の1着につながった。これで満足しなかったら全競輪選手に怒られてしまいます。グランプリのチャンピオンレーサーになったが、実感は…、正直、まだどっきりなんじゃないかと思っています。コロナ禍で走れなかった期間、自分を見つめ直すいい機会になった。僕の走るレースに対してお客さんは買ってくれるので、グランプリだとか考えず、1つのレースとして挑みました。優勝できるとは思っていなかったが、郡司君のおかげ。来年も頑張ります」